1. ホーム
  2. 埼玉大学幾何セミナー
  3. 曲面上の流体力学的Killingベクトル場

埼玉大学幾何セミナー

2024年1月25日(木) 16:30 ~ 18:00

曲面上の流体力学的Killingベクトル場

講演者

清水 雄貴氏(東京大学)

会場

埼玉大学 理学部1号館3階 基礎数理演習室

アブストラクト

Killing ベクトル場はRiemann幾何に起源を持つ一方,2020年以降,多様体上の流体力学において急速に注目を集めている.
そこで,Killingベクトル場に関連する膨大な幾何学的知見の流体力学への応用が期待される.
しかし,こうした知見は多くの場合,流れ場となる多様体のコンパクト性または境界がない状況を前提としている.
河川のモデルである帯状領域一つとっても,その範疇の対象外となることを鑑みると,流れ場に位相的制約を課すことは,その適用範囲を狭めることに直結する.
流体力学への応用を想定する上では,むしろ流れに対して,境界や無限遠での挙動に制約を課す方が適切である.
そこで,有限時間での流体粒子の流入流出がないことを表すモデルとして,滑り境界条件と完備性を満たす非零Killingベクトル場を提案し,これを流体力学的Killingベクトル場と呼ぶ.

本研究では,流体力学的Killingベクトル場を許容する連結有向曲面の共形共役分類を行う.
具体的には,そのような曲面は回転または並進対称計量を持つ,14種類の標準的なRiemann面のいずれかに等角同値であることを示す.
本講演では,Killingベクトル場にまつわる多様体上の流体力学での最近の動向に関して調査報告したのち,以下の論文の内容を紹介する:
Y.Shimizu, “Hydrodynamic Killing vector fields on surfaces” J. Geom. Phys. 196 (2024) 105080, https://doi.org/10.1016/j.geomphys.2023.105080.

ページトップへ
ページトップへ