講演者

原 誠人氏（京都大学）

会場

埼玉大学 理学部1号館3階 基礎数理演習室

アブストラクト

リザバー計算は力学系を本体にもつような機械学習法である．本体が力学系なので決定論的時系列の扱いに優れており，たとえばある写像（学習対象）が生成する時系列をリザバーに適切に「学習」させた場合，学習後のリザバーは学習対象と同様のダイナミクスを示すことが複数の数値実験で強く示唆されている．講演者らは数年来，その数学的原理の解明を目指している．現時点で最も有力なシナリオは，(１) 学習対象の力学系のアトラクタがリザバーの相空間に埋め込まれ，（２）「学習」を通じてリザバーが学習対象と（半）共役になる，というものである．特に（１）については，WhitneyやTakensによる古典的な埋め込み定理のアイディアが活用できると考えている．本講演ではこのシナリオの概略について，（１）に重点を置きつつ議論したい．本講演は國府寛司教授（京都大学）との共同研究に基づく．